2022年 04月 07日
キハツブラシ
市場で目についた、こちらの小瓶
メタリックな金具が古い医療器具のような厳しさを感じさせるものの、格子模様とボトムのフリルが可愛らしいギャップが気に入りました
そんな金具の先端を見ていると、なんだかシャワーヘッドのよう?
いやいや、ブラシの跡のようです
こちらはキハツブラシという商品で、瓶の中からベンジンなどの溶液が昇ってブラシを浸し、繊維を痛めずにシミ抜きができるのが売りの商品だったようです
和服洋服問わず使えたようで、これはなかなか便利そうですね〜
[
しっかり回るノズルもついています
ブラシの毛の部分をせり出させる部品でしょうか?
本当はあのシャワーヘッドに毛が生えていて、同じく銀に輝くキャップもついていたんですが…
ちょっとかけているのでお得に手に入れられました
金具には[號九二四八六一第 許特案新]という彫り込み
アンティークもの特有の特許の彫り込みは何回見ても良いですね〜
底にはしっかりとエンボスが入れられています
[式野松・新案特許・168429號]
なぜか松野式だけ右横書きになっています
真ん中には誇らしげに[MADE IN JAPAN]、この頃はしっかりと入れられてますよね〜
2022年 02月 17日
○衛
少し前の平安蚤の市でお手頃に入手できた瓶です
ビー玉との比較の通り、手のひらに収まる手頃なサイズの瓶です
購入の決め手は、この一点…
ボトムに大きくエンボスされた大きな[○衛]のマーク!
前から見かける機会はあったものの、今回やっと手に入れることができました
この漢字を見ると真っ先に○○衛門が思い浮かぶ自分ですが、恐らくこの瓶を使っていたところが○○衛製剤とか製薬所とかだったんじゃないでしょうか…
あの田辺三菱製薬だって、昔は田辺五兵衛商店でしてし…
透かしてみると、この通り美しいコバルトブルー…
危険な薬品の瓶はコバルトを入れて青くしていたイギリスに倣い、日本でも目薬や白髪染めなどの飲用できないもの、または神薬など服用に注意が必要なものには青い瓶を用いていました
そこから考えると、この瓶もその類であると考えられますが、いかんせん情報がなくて…
あと、この瓶は海で潮と砂に揉まれたのか、火にくべられたのか、あるいは両方か…
表面はひどく爛れ、さらにはローマングラスを思わせるほどに銀化してしまっています
まぁ、おかげで安かったんですが…
魅惑のコバルトブルー、神薬系統なら嬉しいですね~
2022年 02月 03日
ハイタミン
寒いと色んな気力が削がれて、いけませんね~
そんな久し振りの更新は、わりと苦心して入手したこちらの瓶になります
外用鎮痛
堂栄壽 歯痛液 しつうゑき
ズバリ、歯痛液になります!
このネーミングだと塗ったらモノスゴ~く痛くなりそうな感じがしますね、フッ素化合物か何か?
主治効能
齲(*i)歯・歯齦(*ii)の痛・齗(*iii)のはれ・神経・肩の凝り・頭痛より發する歯の痛み・其他歯痛口中病に病によし
(此の薬咽喉に入るも少も害なし)
(*i)齲…う。 虫歯のこと。
(*ii)齦…ぎん。こん。 歯茎のこと。
(*iii)齗…ぎん。 歯茎のこと。
※効能書きの方のへんは全て[歯]
効能には見たこともないような口腔関係の漢字が列挙されていますが、肩の凝り?と思われる方も多いと思います
関係あるのかと思いきや、姿勢が悪くなることで首回りの筋肉が凝り、関連して歯痛が現れるということもあるようです
というか、歯痛は全身に関わることが多い重篤なものだったりするので、今ではコンビニエンスストアよりも多いと言われる歯科医さんの存在がありがたく思えてきますね~
歯痛良薬 法用
歯の痛みには消毒綿をピンセットに挟み薬液を十分に浸して患部に填め心気を鎮れば速に痛を去る
こういうクレオソート系の歯のお薬は、丸薬の形でも歯の中に詰める指示があるものがよく見受けられます
ただそうするだけではなく、心気を鎮めて…というアドバイスもあることから、詰めたときは相当な痛みが伴ったんじゃないでしょうか…
藤村薬品工業株式會社 [村藤]の落款
京都市右京區太秦一ノ井二六
チモール 四、○ カンフル 三、○
薄荷脳 三、○ アルコール 七五、○
蒸留水 一五、○ 定価金 二十圓
ハイタミンの製造元は、難読地名として頻出の上、映画村があるためにスッカリお馴染みとなった右京区は太秦にあったようです
チモールは殺菌効果のある薬剤で、スッとする香りや独特の舌にビリリとくる刺激から、歯磨き粉などにも使われています
カンフルは、クスノキの欠片を水蒸気蒸留することでできる結晶のことで、鎮痛の効果とともに良い香りによる清涼感もあることから、塗布剤に広くいられていました
薄荷脳はメントールのことで、ハッカ油などに代表されるようにスースーした感覚が特徴的なこちらも、消炎作用があるため塗布剤によく見られます
つまり、こちらの歯痛液にクレオソートは入っていないようです…
それにしても、陸軍系統の配給薬を連想させる、何とも素っ気ないガリ版刷のラベルが上から貼られているのが気になります
成分を変えたけど、イチから印刷しなおすのが大変なので、上から貼って対処したんでしょうか…
そうだとすると、いよいよ下が気になりますが…
絶対ボロボロになっちゃうので、ここは堪えておきます…
蓋には製薬会社によく見られる十字に組み合わせたモノグラム(ではないけど)のマーク…
これ、頭痛薬のアスピリンで知られる、バイエルン薬品のマークが一番有名だと思うんですが、ひょっとして初出なんでしょうか…?
底の封緘は破れていません
大昔のいい加減な作りのおかげで上の英語表記は半分切れてしまっていますが、もう片方のおかげで判読できました
そちらは日本語表記の方が切れているので、どちらか片方が犠牲になる定めになっていたようです(笑)
[TRADE MARK “JUEIDO” BRAND][藤村薬品工業株式会社]とあるようです、なかなか縁起のよい社名ですね~!
そして、こちらがその中身です!
見てください、この大きさ…!
歯痛液の瓶はたいてい小さいんですが、こちらは首もそこまで長くなく、普通の瓶の形でそのまま小さい感じが可愛いですね~
縦にギリギリ収まった[ハイタミン]の固い文字の漢字がミスマッチで、これまた可愛い!
検索すると、ズバリそのまま[ハイタミン錠]という薬品が出てきますが、
手で持ってみると、小ささが際立ちますね~!
気に入ってはいるんですが、一つ気になるのは箱のどこにも[ハイタミン]という商品名が書かれていないこと…
説明書も入っていませんでしたし、塗るのに使ったと思われる刷毛も無ければ蓋も無く、中身も綺麗サッパリ…
本当にこの箱と瓶とが正しい組み合わせなのかは分かりませんが、まぁ素敵なので良しとしましょう!
ちなみに、今現在二つがオクに出ていますが…
お察しください、ホントに苦労したんです(泣)