2021年 11月 01日
ドカンとハジける危ないヤツ
けっこう日差しが強く、秋とは思えない暑さでした…
いつものように各露店を覗きながら欲しいものを探して回っていましたが、いつも瓶を買っているところでワゴンセール的なものを発見!
まとめてお買い上げしましたが、店主さん曰わく朝早くであればもっと面白いものも残っていたとか…
こうした骨董市に限って言えば、早起きは三文以上の得なんですよね…
しかし、トボトボと市場を旋回していたとき…
いつも見かけてはいたものの、手に入らずじまいだろうなと諦めかけていたものが目に飛び込んできました!
どうですか、この真ん丸い胴体にチョコンとついた口!
可愛いですよね~
しかし、コイツは可愛いだけじゃないんです…
太平洋戦争中、敗戦色が濃厚になっていった日本軍が本土決戦を見越して生産した手榴弾なんです!
陶器製の日本の兵器というと、他にも富国産業などが製造していた陶製地雷などがありますが…
こちらはドイツの地雷が金属探知機により回避されてしまっていたのを参考に、非金属での地雷を開発したもの…
対して、こちらは圧倒的に不足していた金属を使わずに済むことを念頭に置いて開発されたものになります
陶器の爆弾という、元寇のときに用いられたてつはうのような兵器ではありますが、思考を突き詰めると原点に立ち返ると言いますか…
なんだか不思議な縁を感じてしまいます
もともと、この陶製手榴弾は全体がゴム製のカバーで覆われており、口元を剥がすと発火剤が塗られた木製の内蓋が現れるので、これを取ってマッチのように擦り火をつけ、導火線に着火して投擲というのを想定していたようです
手榴弾は爆発そのものよりも飛散する本体の破片により相手を殺傷することが主な機能ですが、陶器だとすぐに割れてしまうため、飛び散る破片の速さも不十分なため、本来の手榴弾と比べると殺傷能力は劣っていたようです
しかし、実戦で使用されたことはないらしく、終戦後はあちこちの川やら池やら海やらに投棄されたために、全国の数カ所にこの陶製手榴弾の墓場とも言うべき場所があったりします
ただ、なぜかたまに中身が残ったものがあるらしく、とあるビーチコーマーの方が運悪くその状態のものを見つけてしまったことがあったとか…
通報すると警察の爆弾処理班が処理しに来たとか何とかで大事になってしまったという事件もあるくらい、物騒なシロモノです
ものによっては富国産業の[富]や、信楽焼の[信]など番号が入っているものもありますが、こちらは全くの無銘です
底には丸い円形の後が残っていますが、真ん丸な陶製手榴弾を何かの円筒の上に置き、安定させながら製造したのでしょうか
胴体には継ぎ目が確認できます
陶器手榴弾の破片には、土を内側から押して固めた際についたと思われる布地が見られたりしますが、そうしてできあがった上部と下部を丁寧に接合していったのでしょうね
割れたものの中には口部分からお尻まで真っ二つになっているものがあったりしますが、こちらは見た通り上下が接合されているのが分かります
産地によっては、左右の部品を縦向きに接合していたものもあったのでしょうか?
首元から下には白い釉薬がかけられていますが、これは中身の火薬が湿気ないよう水分を弾く狙いがあったものと思われます
露店主の方のお話によると、全国の著名な焼き物の産地で造られたもののうち、真っ白い土で素焼きのものが伊万里焼、白い土に白い釉薬がかけられているものが瀬戸焼、茶色い鉄釉が信楽焼というように分かれていたとのことでした
検索してみると、白土の素焼きのものは有田焼のものでも見られ、もともと水を弾く土質のため釉薬がかけられていないとの解説がついていました
ちなみに、地元の京都でも焼かれていたことが確認されており、実際に山中で陶製地雷を入手されている方もおられるので、拾えないこともないかと思われます
この通り、焼き物として見てみると貫入のような模様があったり、ところどころ釉薬に混入した粒々があったりと実に味のある造りです
茶室に掛け軸とともに飾ってあっても違和感がないくらいには素敵な焼き物だと思えます
元爆弾に花を生ける、というのはいろいろクサいとか思われてしまいそうですが、なかなか素敵なことではないでしょうか
手で投げるのを想定しているのもあって、握ったときのフィット感は感動するものがあります
表面のツルツルした質感も手伝って、触っているうちになんだか投げたくなってきます
この釉薬、防湿以外に投げたくさせる心理効果も盛り込んでいたのでは…?
とにかく真ん丸ゴロゴロとしていて可愛らしいヤツですが、出るところはけっこう限られているようです
店主さんは、一万個(!)ほど陶製手榴弾を収蔵している業者さんから仕入れているそうですが、新たに出回ることのない過去の遺物だけあって、出回りに出回った結果、現在は三千個ほどになってしまったとのこと…
数年後には倍の値段になってるかも、とのことでしたので、一つでも入手できて良かったなぁ~と心から感じました…
2021年 10月 11日
皇国ワイン
前回、平安蚤の市で見かけた大きなアラバスターガラスの花瓶…
かと思いきや、口にネジが切られているのに気付きました
気になって見てみたそのエンボスには[WINE]の文字、アラバスターガラスの飲料瓶というのは初めて見るものでした…
全体に施されたアールヌーヴォーなデザインのおかげで普通の飲料の瓶だとは思えず、コリャ珍しいんじゃないかとお値段を聞いてみましたが…
予算オーバー、残念ながら見送りました…
が、その後に再びネット上で再開!
しかも初回遭遇時よりちょっとお得、迷うことなく落としました
肩には[KOKOKU WINE CO LTD]とエンボスが入っています
Oの上の伸ばし音の記号から、[皇国ワイン]だと推測して検索してみたところ…
横浜に皇国葡萄酒株式会社という企業が存在していたことが判明しました
出てきた画像は宣伝の絵はがきで、皇国コニアク(コニャック)や皇国ブランデーなど、けっこう手広くお酒を手がけていたであろうことが窺えました
引用してもあまり見映えがよくなさそうなので、詳しくはご検索ください(汗)
ワインの瓶らしく、ツルを伸ばしてたわわに実ったブドウの果実、活きのいい葉など実に豪勢なエンボスが施されています
現在ではコルク栓の側面によく描いてあったりするモチーフですが、ガラスのエンボスとなると重みが変わってきますね~
そんなエンボスは首部分まで及んでいたりします
こういったデザインというのは本体部分に収まっている印象が強かったので、首にまで伸びてきているのはなんだか珍しいように思えました
もう一つの特色は、足元を見てみると分かります
そう、この瓶には三つのあんよがついているんです!
化粧品のクリームやポマードでは一部に見受けられますが、こうした飲料の瓶では初めて見るものです
普通に平たい底にすれば安定するものなのに、わざわざ脚をつけるのはやはり高級感の演出のためなのでしょうね
こうして見てみるとまるで古代ギリシャのドーリア式建築の柱のようで、他とは違う雰囲気を放っているのは、こうした細部のこだわりによるものなのだろうと感じます
せっかくなのでワインを入れてみました
飲料の瓶でアラバスターという時点で全く見かけませんが、実際にワイン入りで見てみると、ガラスの柔らかい白が透ける中身の赤を柔らかくしており、幻想的な雰囲気を醸し出しているように見えます
いやぁ、やっぱりお酒は容器や酒器で味が変わってくるように思えてしまいます…!
2021年 09月 23日
9月10日の平安蚤の市
開催されるかどうか不安でしたが、無事開催されていた平安蚤の市へと入ってきました
思えば天神さんなども開かれるようになってきてますし、これから開催の有無の心配はいらなくなってくるのでしょうか?
念のため、私はもう二回目のワクチン接種を済ませました!
一、二回目ともほぼ副反応が無かったので、なかなか強いじゃないかと思っていたんですが、副反応というのは免疫がキチンと働いているために起きる現象でして…
つまり、私の免疫はほとんど仕事してないということになります…
それは置いておいて、この綺麗な秋晴れのなか平安神宮を望みながら、目的の瓶を求めて市場をさまよい歩きました
古いタイプのパイロットインキのツボ型瓶を三度も見かけ、ABCインキやサンエスインキなどかなりインク瓶を見かけました
こちらでは、セーラーやプラトンなどラベル付きのインク瓶がゴロゴロと並べられていました
そんな中でも、[京都驛 特製みつ豆]とある謎のガラスカップを発見!
店主さんが談笑していてなかなか話しかけられませんでしたが、やはり予想通り予算外でした…
そんな中でも良さげな瓶を二点ほど選んできました
ちなみに、10月は二回開催されるようです
12日と27日、ちゃんと覚えておかないと…
まずはこの深い緑が美しい化粧品の瓶です
かなり近代の瓶が並べられた箱の中に、ひときわ特異な存在感を放つものがあるのに気がつきました
こんな風にサイドがくびれているのはヘアートニックなどに見られるものですが、こんな緑色のものもあったのでしょうか?
サイドにはブロックが並んだようなデザインが施されています
このデザインは明城のヘアートニックと同じですが、別に関連性はないものかと…
底には右から[舗本ータス]と入っています
ワンスターやファイブスター化粧料など、名前に星が入る化粧品の企業はいろいろありますが、ダイレクトに星で攻めてきているのは聞いたことがありません…
口はこの通り、狭い振り出しタイプのものです
ヘアートニックの瓶もこのように口が狭く造られているものが多いので、やはり頭髪に使うものが入っていたのでしょうか?
お次はこの瓶、見えづらいですが全体に縦線が入ったデザイナーになっており、前面に逆三角形のラベル窓が取られています
この時点でなかなか凝っていて、豪華な感じなんですが…
裏面には[ンマービ]とエンボスがあります
白髪染めで有名なビーマンですが、色は茶色で、瓶の真ん中に◇の枠が幾重にも重ねられたデザインの瓶がよく知られていて、このタイプの瓶は初めて実物を見るものでした
側面には[日本 東京][本舗 春光堂]と入っています
先ほどの茶色い瓶では[ビーマン研究所]という表記になっているので、そちらの前身の表記になっているものと思われます
細いコルク栓の口もなかなか素敵ですし、かなりお上品なガラス瓶だといえます
この瓶は、天神さんと平安蚤の市でいつも珍しい瓶を取り扱われているお店で購入しました
けっこう妥当なお値段で入手できますし、また次もこちらで面白い瓶を購入するかも?